六本木、丸の内、新宿、渋谷……仕事やプライベートでも訪れることも多いこのエリアには、世界的にも重要なアート作品が何気なく設置されている。見たことはあっても、作品名やアーティスト名は知らない人も多いはず。次回このアート作品の前を通る時には、是非思い出してみてください。
1, ルイーズ・ブルジョワの《ママン》
フランス出身の女性彫刻家、ルイーズ・ブルジョワの作品。高さ10メートルに及ぶ《ママン》を下からのぞいてみると、体内に20個近くの白く光り輝く大理石の卵を抱えており、そこには作家の母親への憧憬が込められている。また、糸をはいて巣を張っていくクモの姿に、織物職人だった母のイメージを重ね合わせているとも言われている。ロンドンの『テートモダン』をはじめ、スペインのビルバオにある『グッゲンハイム美術館』、ソウルの『リウム』などにも恒久設置されている。
📍六本木ヒルズ
2, イザ・ゲンツケンの《薔薇》
《ママン》の目と鼻の先に、花や木々に囲まれた小さな庭園に1本の大きな薔薇が咲いている。《薔薇》は、ドイツの女性芸術家、イザ・ゲンツケンによる8メートルほどの彫刻作品。葉脈や茎の棘など、細部まで表現された作品は、是非足を止めてじっくりと眺めてみたい。NYの『MoMa』の中庭にも恒久設置されている。
📍六本木ヒルズ
3, 草間彌生の《われは南瓜》
丸の内仲通りの「丸の内ストリートギャラリー」に展示されている作品のひとつ。「南瓜」といえば香川県の直島が有名だが、東京の「南瓜」は初めて石彫で作られた作品として知られる。草間は自身のテーマである「永遠(とこしえ)」に例え、半永久的に残る黒御影石に自身を重ね合わせて、永遠の命を作品に吹き込んだ。
4, インゲス・イデーの《グローイング・ガーデナー》
山手線で五反田から大崎を通る時に、窓から見かけたことがある人も多いのでは。オフィスビルの設置庭区に設置されたこの作品は、森の守り神を意味する庭師をモチーフにしている。インゲス・イデーは、4人のアーティストが公共空間のアート・プロジェクトで協同した際に、ベルリンで1992年に結成したされたユニット。日本では、十和田市現代美術館のトイレの近くにある、巨大な幽霊の作品もあり。
📍アートヴィレッジ大崎セントラルタワー
5, ロバート・インディアナの《LOVE》
西新宿のオフィス街で一際目立つLOVEの文字。アメリカの作家ロバート・インディアナが手がけたこのオブジェは、ニューヨークや台北、バレンシア、バンクーバーなど、世界各都市で展示されている。
📍新宿アイランド
6, 宮下芳子の《新宿の目》
1969年に彫刻家・宮下芳子氏が制作してから、何者かによって破損されたり、『スバルビル』の解体工事に伴い解体の噂が流れたりもしたが、今も新宿で行き交う多くの人を見守っている。瞳の高さは約3m、横幅は約10m。作品の内部に照明が埋め込まれていて、瞳の部分が回転する構造になっている。
📍新宿駅西口地下広場
7, 松山智一の《花尾》
NYを拠点に活躍するアーティスト、松山智一による巨大彫刻。《花尾》には正面がなく、鏡面仕上げの素材には新宿の風景が映り込み、見る角度によって表情を変える。台座の部分には椅子が並べられており、ここでくつろぐ人の姿も多い。
📍新宿駅東口駅前広場
8, ロイ・リキテンスタインの《Tokyo Brushstroke I》
アンディ・ウォーホルらとともにポップアートを代表するニューヨークの画家、ロイ・リキテンスタインによる彫刻。「ブラッシュストローク」というタイトルの通り、絵を描くときの筆の動き、筆のあとを表現している。《Tokyo Brushstoroke Ⅱ》は新宿アイランドウイングのアトリウムにあり。
📍新宿アイランドウイング/ウイング
9,岡本太郎の《明日の神話》
『太陽の塔』と同時期に制作され、“塔と対をなす”といわれる長さ30メートル、高さ5.5メートルの巨大壁画。描かれているのは原爆が炸裂する悲劇の瞬間だが、単なる被害者の絵ではない。人は残酷な惨劇さえも誇らかに乗り越えることができる、そしてその先にこそ「明日の神話」が生まれる、という強いメッセージが込められている。
📍京王井の頭線渋谷駅とJR渋谷駅を結ぶ連絡通路
10,ジャウメ・プレンサの 《ルーツ》
瀬戸内海の男木島に船の発着場の設計も担当した、スペインを代表する世界的なアーティストによる彫刻。8つの言語の文字を使い、膝をかかえて座る人間は、それぞれの文化を映し出す文字を通じて「世界の多様性」を表現し、「多様な文化の違いを越えて、人々が平和的に共存すること」を象徴している。
📍虎ノ門ヒルズのオーバル広場