東京の建築を舞台に、通常は非公開の建築や空間を開放する「特別公開」や、ガイドツアー、トークイベントなどが展開される「東京建築祭」が今年も開催される。
初開催となった2024年には日本橋・京橋、大手町・丸の内・有楽町、銀座・築地を対象エリアとしてスタートし、2025年は上野・湯島・本郷、神田・九段、港区エリアが加わり、3回目となる今年は、渋谷にも展開。参加する建築は過去最多の151件を予定している。
注目の特別公開
普段は立ち入ることのできない建物が、東京建築祭期間中は公開になる建物を一部紹介。
桜縁荘(旧唐木田家住宅)
大正時代に建てられた伝統構法の民家・桜縁荘(旧唐木田家住宅)を、改修工事直後に特別公開。築約100年の住宅で、更地の危機を乗り越え、2024年に国の登録有形文化財となった。既存の意匠や構造を残しつつ、耐震補強を施し、新たな機能が追加された。改修後の空間を通して、歴史ある建物がどのように次世代に継承されていくのかを実感できる。
東京国立博物館 日本庭園 茶室

東京国立博物館本館の奥に広がる日本庭園に佇む茶室を特別公開。春草廬・転合庵・六窓庵は、普段は閉じている扉を開け、内部を見学することができる。九条館は、内部への立ち入り見学を可能に。巡らされた廻り廊下やカリンの一枚板に藤花菱が透かし彫りが施された欄間、狩野派による楼閣山水図など、それぞれ異なる時代や背景を持つ普段非公開の空間に触れることができる。
ノアビル

麻布台・飯倉交差点のランドマーク、ノアビルディングは、哲学的建築家と称される白井晟一の作品。割肌レンガの基壇と硫酸銅仕上げの楕円筒形の塔が、都市に彫刻のような緊張感をもたらす。今回、正面玄関と地下エントランス前エリアを特別公開。アーチを多用した意匠や、黒御影石に映り込む光が生む奥行き、蛇行する動線、星空のような照明など、柔と剛、光と影が交錯する内部空間の魅力を体感できる。
三井本館
現存する最古のアメリカンタイプのオフィスビル。三井合名をはじめ、旧三井物産、三井鉱山など直系各社の本社機能を集中させるために建てられた背景を物語る合名玄関、エレベーターと5階オフィスフロアを特別に公開。黒と白でデザインされた美しい床石、格間天井の精巧な装飾、今も現役で稼働する重厚なエレベーターといった創建時からの姿が受け継がれている。
明治生命館
古典主義様式の最高傑作と名高いの「明治生命館」。1997年には昭和期の建築として初めて、国の重要文化財に指定された。東京建築祭に合わせて、普段は非公開の7階講堂を特別に公開する。7階・8階吹抜けの大講堂は創建時の姿に復元され、映画館のような扉の向こうに広がる壁面のレリーフや窓枠の意匠など、その壮麗さを堪能してほしい。
この他、普段接することの少ない建築の所有者や建築家、技術者、研究者など、その場所と深く関わってきた人々がガイドを務め、普段は語られない解説やエピソードとともに建築を巡るガイドツアーや、トークイベントや交流会、ワークショップなど、建築の奥深さに触れる全27企画のプログラムも開催される。